山人生の標が刻まれたザックの修理
こんにちは、頑固オヤジ店長 久保です。
先日、「長年使ってきたザックの修理ができないか」とお問い合わせがありました。破損個所の写真を送っていただいて確認してみたところ、こちらの写真の黄色い丸で囲った部分のホックがちぎれてしまっていました。
送っていただいたザック
こちらが送っていただいたザック。すごく年季の入ったカッコいいザックです!
フロント、上蓋のオレンジ色の部分はナイロン素材、底はラフアウトレザー、背面本体は帆布/ハンプが使ってある頑丈なザックです。
背中に硬いフレームが入っている本格的な登山用ザック。
こちらが破損個所。打ちとめてあった帆布の穴が広がり、ホックの座部分が抜けてしまっています。このホックで留められた上蓋かぶせは、ポケットになっています。どのくらいの負荷がかかってちぎれたのかなぁ、と思い、ザックのオーナー様に聞いてみました。「上蓋のポケットかぶせ部分には、せいぜい入れても3㎏もないくらい」とのことでした。
ザックの修理開始!
それでは早速ザックの修理を開始していきます。左が抜けたということは、右も近いうちに外れるかもしれないので、ついでに両方新しく付け替えましょう、と事前打ち合わせの上、まずはじめに、右側のホックの座面を外します。
ひとまず、ホックを外した状態がこちら。
裏側から革を当てていこうと思います。この辺にかぶせていくわけです。
それでは、この革のコバ処理をしていきたいと思います。まずはふのりをつけながら木のコバ磨きで磨いていきます。2回ほど繰り返し磨いていきました。
コバ処理が終わったら、縫い穴をあけるべく、ネジネンで縫い線を引いていきます。
ネジネンで引いた縫い線に合わせて、菱目打ちで縫い穴をあけていきました。
次に菱切りで縫い穴を貫通させていきます。
さて、下準備ができました。出来上がった革のパーツをザックに設置していきたいと思います。
ホック位置に合わせて、準備した革パーツをボンドで貼り合わせていきます。接着した状態がこちら。今日はここまで。接着箇所を乾かしてから、手縫いで縫い合わせる作業に入りたいと思います。
修理、2日目~仕上げ
ボンドもしっかり乾いたところで、貼り合わせた帆布に縫い穴をあけていきます。
それでは早速手縫い開始。本体容量を大きく拡張できる内生地があるので、なかなか縫いにくい、、、一針一針縫い進めていきます。
地道な作業が続きます。
ひとまず手縫い完了。これで絶対に抜けない下地ができました。
ホックを通す穴をあけます。
ホックの打ち込み作業。完成目前です!
ザックの修理、完成!
さあ、ザックの修理が完成です!
上蓋かぶせを取り付けてみました。ホックの取り付け具合も良好♪
この話のまとめ
「長年使ってきたザック」
オーナー様はザックを送られる際に、「汚れやキズがたくさんあるけど、私の山人生の標みたいなものなので、どうかご容赦ください」とおっしゃっていました。実際手にしてみると、一つ一つの汚れや傷、オーナー様がともに歩んできた、山人生の歴史のようなものを感じずにはいられない、味のあるザックでした。
PS…
後日、お客様からお便りをいただきましたのでそちらもご紹介しますね♪
今さらながら、ありがとうございます。感謝の意味を込めて、ご報告まで!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
それではまた♪