お札だけ入れる、ブライドルレザー札入れの制作レポート
こんにちは、頑固オヤジ店長 久保です!
先日入手したブリティッシュブライドルレザー。
お客様との打ち合わせ
まず最初にお客様とのメールでの打ち合わせ。お客様のご要望をいろいろとうかがったんですが、ポイントを書き出してみるとこんな感じです。
革の切り出し
型紙がとりあえずできたので、まずは革の切り出しから。ブライドルレザーの切り出し。切り出す刃先から、革の繊維内にロウがたっぷり塗り込まれているのがひしひしと伝わってきます。何とも言えない新鮮な感覚でした。表面もスムースな革質だし、ブルームが出ているのもあって、抑える指も滑りやすいから、かなり慎重に作業を進めました。切り出し終わった革パーツがこちらです。
本体胴にブライドルレザー、中の間仕切りには栃木レザーのヌメ革を採用しています。こんな感じに組み上げる予定。
ステッチを考える
さて、今回のブライドルレザーに合わせて、ステッチをどうするか考えます。今までの「栃木レザーのヌメ革財布シリーズ」では、ロウビキした麻糸を使っています。麻糸の風合いとヌメ革の表情の相性がとってもいいですからね。ただ、今回のブライドルレザーの格調高い表情には、シニュー糸もありかなぁ、と。たっぷりとロウビキされたナイロン糸で、さいて使うんですが、麻糸より強度に優れてるし、何より黄色みがかった色合いがアンティーク調な雰囲気でブライドルレザーにもピッタリだな、と思ったんですよね。
ステッチを試し縫いしてみる
ロウビキ麻糸とシニュー糸で、ステッチを試し縫いしてみました。それぞれご紹介していきましょう。
【縫い目1】ロウビキ麻糸、ピッチ:9本目
いつも使用しているロウビキ麻糸。縫い目のピッチ、9本目の目打ちを使った「手縫いの財布小物」にちょうどいいピッチでしょう。風合いのいい、ちょっと洗練されたような感じの印象で、強度よりも優しい雰囲気を感じさせてくれます。
【縫い目2】シニュー糸1本、ピッチ:11本目
シニュー糸を3つにさいて、1本で縫ってみました。ピッチは11本目の目打ち。かなり細かい縫い目、これはこれでカッコいいんですが、糸が細すぎて風合いが弱いかな。
【縫い目3】シニュー糸2本、ピッチ:11本目
次はシニュー糸を2本よって縫ってみました。先ほどと同様、ピッチは11本目。糸の太さが詰まった感じになってしまいますね。
【縫い目4】シニュー糸2本、ピッチ:9本目
同様にシニュー糸2本をよって縫っています。今回はピッチが9本目の目打ちです。シニュー糸の風合い、縫い目のピッチ、ともにしっくりきましたね。
縫い目1か縫い目4かで、ちょっと悩んでしまったので、お客様のご要望を聞いてみたところ、縫い目4を気に入っていただけたので、今回は縫い目のピッチは9本目、糸はシニュー糸2本で縫っていきたいと思います!
さて、ブライドルレザーをシニュー糸で縫う。今回初の試み。取り扱いの難しいシニュー糸、安定した縫い目を作るのに少し工夫が必要だったので、ブライドルレザーのハギレに何度も試し縫いをして理想の縫い目に近づけるべくチューニングをしました。ブライドルレザー自体も目が詰まって硬い!!縫い目の穴の大きさなど、かなり細かい部分まで微調整していきました。
ブライドルレザーの札入れが完成!!
縫い目のチューニングができたら、後はひたすら縫うだけ。コバも磨き上げて、ついにブライドルレザーの札入れが完成しました!!
重厚な黒い革に黄色みがかったステッチが映える。アンティークな雰囲気に仕上がったと思います。
ブルームののったブライドルレザー、堅牢でスムースな革質は、実際手作りした感じ、かなり頑丈な革でした、、、コバを磨くにしても、一針一針手縫いしていくにしても、一筋縄ではいきません。それだけに長く愛用していただける財布に仕上がったと思います。
ブライドルレザーに刻まれたロゴの刻印も、アンティーク調の財布にしっくり馴染んでいます。
サイズもお客様のご希望に合わせて、17.5cm、札入れの幅としては最短の仕上がりです。
間仕切りを1枚入れて薄マチながらに2層構造仕立て。
背面はシンプルですが、ブルームが浮き出たブライドルレザーの風合いは格別なものを感じさせてくれます。
お待たせしましたが、明日発送させていただきますので
お届けまでもうしばらくお待ちくださいね♪
PS.後日お客様からメッセージをいただきました!
それではまた♪
すっごい楽しいです!!嬉しいです!本当にありがとうございました!大事に大事に使わせて頂きます!!