こんにちは、頑固オヤジ店長 久保です!
当店では主に栃木レザーの極上ヌメ革を使って革のミドル財布なんかの革小物や、帆布と革を合わせたバッグなどをオーダーメイドで制作しています。
注文を受けてから、一つ一つ手作業で作っているんですが、財布のサイズでも作業工程がいろいろと細かく積み重なって出来上がっていくんです。今回は「当店の革財布制作の基本工程」と題して、代表的な作業工程をご紹介していきたいと思います!

革財布制作の基本工程

それでは早速当店の革財布制作の基本工程をご説明したいと思います。

  • 革の裁断~一枚革から型紙に合わせてそれぞれのパーツに切り出します。
  • コバの磨き~貼り合わせる前のパーツ自体のコバを磨きます。
  • 飾りネン入れ~熱した玉ネンでコバにネンを入れて、コバを焼き締めます。
  • 仕上げ磨き~パーツ状態のコバをトコノールで仕上げ磨きします。
  • 貼り合わせ下準備~革パーツに合印を付けて、接着面を荒らします。
  • 貼り合わせ~革用ボンドで接着し、口金やっとこで圧着します。
  • 縫い線付け~ネジネンで端から等間隔で縫い線を引きます。
  • 縫い穴あけ~縫い線に沿って、菱目打ちを使って縫い目を開けます。
  • 縫い穴の整形~縫い穴が大きくなりすぎないように3段階に分け貫通します。
  • 縫い合わせ~ステッチングクランプを使って手縫いで縫い合わせます。
  • 縫い合わせたコバ磨き~縫い合わせたコバを段差がなくなるように磨きます。

およそこの工程を繰り返しながら、カード入れ、小銭入れを作って、出来上がったカード入れと小銭入れを貼り合わせて、またこの工程を繰り返してようやく一つの革財布が出来上がるんです。ここからは、かいつまみながら、それぞれの工程をご紹介していきますね。

【その1】革の裁断

まずは革の裁断から。新しく財布を作るときはまず型紙を作るんですが、その型紙を使って革に線を引いてから、その線に合わせて包丁やカッターで革パーツを切り出します。

【その2】コバ磨き

貼り合わせる前のコバ磨き。革の厚みが1mm程度の場合は水磨きから始めますが、ここがコバ磨きの奥深さ。貼り合わせた革パーツのように2mmくらいになると、水磨きの前に包丁を使ったり、ヤスリをかけたり、コバの状態に合わせて荒磨きをしたうえで水磨きを進めます。

【その3】飾りネン入れ

水磨きが終わった状態(中磨き)のコバに飾りネンを入れます。当店では温度が高くなりすぎないように、玉ネンをアルコールランプであぶってネンを引きます。ネンを入れ終わったら仕上げ磨きに入ります。

【その4】接着面の荒らし

磨きが終わった革パーツどうしを貼り合わせる下準備。銀面(革の表側)と張り合わせる場合が多々あるんですが、銀面はつるっとした面なのでボンドの接着力が弱くならないように、貼り合わせる部分をカッターで荒らします。

【その5】革の圧着

革用ボンドで貼り合わせた革パーツを圧着。当店では口金やっとこを使って圧着するのが好み。革が傷つかないように革をあてた お気に入りの工具なんですよね。

【その6】縫い穴あけ

こちらは貼り合わせる前の本体胴の革パーツ。この部分は一枚革で3mmも厚みがあるので、先に縫い穴をあけています。菱目打ちを2種類使って、穴が大きくならないように段階的に穴をあけ、最終的に菱ギリで一目一目貫通させていきます。

厚みが3mmくらいある場合は磨き工程に入る前に、面取りをしておくと後々スムーズに作業が進みます。

【その7】縫い合わせ

いよいよ縫い合わせ。この道具もまたお気に入りの一つなんですが、ステッチングクランプというフランス製ブランチャードの手縫い用道具。私は時と場合によって、自分で作ったステッチングポニー(別名・馬)と使い分けています。

丸ギリを使って一目一目針穴を通しながら、左右交互に縫い絞めていく、手縫いならではの縫い方。一針一針、丹精を込めながら縫いあげていきます。

この話のまとめ

簡単にではありますが、「当店の革財布制作の基本工程」をご紹介してきました。日々黙々とこんな感じで制作に励んでいます。

今回触れれなかった作業工程も、また今度ご紹介できればなぁと思っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! それではまた♪