こんにちは、頑固オヤジ店主 久保です!

うちのお店の一番人気、ミドル財布。今までもお客様からのいろんなご要望で 様々なカスタムをしてきました。カード入れと小銭入れの向きを反対に取り付けたり、ボックス小銭入れをファスナー小銭入れに変えたり、

カスタムオーダーができる手縫いの財布

2019年2月23日

カードを1段減らして財布の高さを1~2cm低くしたり、、、、

ヌメ革ミドル財布、高さ14cmと12cmを比較

2020年5月28日

先日、お客様からミドル財布について、今までにないご相談があり、作業場で打ち合わせをしました。

男性のお客様
こちらのお店の革財布に一目ぼれしまして、、、ミドル財布を作っていただきたいんですが、仕事の関係上、財布をズボンのポケットに入れて作業することが多く、気が付くと財布の中のカード収納に粉塵が入ってるのが原因で カードが磁器不良を起こしちゃうんですよ。そこで財布の中、特にカード収納部分に粉塵が入りこまないように、財布自体をファスナーで閉じれるようにできませんか??
頑固オヤジ店長
なるほど~!それでは、ミドル財布の開く場所にファスナーを付けて、ラウンドファスナーのミドル財布で制作しましょうか!

ラウンド長財布や、ラウンドファスナータイプのカードケースなんかは今まで制作したことがあったんですが、ミドル財布のラウンドファスナー財布は初めてです!今回は「ヌメ革のミドル財布をラウンドファスナー仕様で制作」と題して、ラウンドファスナータイプのミドル財布 制作の模様をご紹介したいと思います~!!

ラウンドファスナー ミドル財布の制作工程

それでは早速、今回ご依頼いただきました、ラウンドファスナー ミドル財布の制作に入りたいと思います。

本体組み上げ前の下準備

まずは、本体組み上げ前の下準備をご紹介したいと思います。ラウンドファスナータイプといっても基本はミドル財布。内装の作りは基本的には通常のミドル財布と同じです。

不動の人気、ヌメ革ミドル財布の最新制作現場

2019年7月6日

カード収納、小銭収納、その他革パーツ準備まで終わらせた状態がこちら。

こちらは外側の本体胴パーツ。コバ磨きまで終わらせた状態です。

そしてこれが、ラウンドファスナーの内側の革パーツ。本体胴部分の裏側に張り付けるパーツになります。

ミドル財布、内装の組み上げ

下準備が終わった内装革パーツを組み上げていきます。先ほど準備したカード入れ・小銭入れパネルの上部分の磨き工程です。ヤスリ掛けしたコバを水磨きします!

トコノールを塗って、ウッドスリッカーで仕上げ磨きした状態がこちら。ツルっとした満足のいく仕上がりです!

札入れ部分になる、間仕切り部分との貼り合わせ。革用ボンドを塗っていきます。

接着面にボンドを塗ったら、キワをピッタリ合わせて貼り合わせて、口金ペンチで圧着していきます。

カード入れ・小銭入れパネルと間仕切りの圧着したパーツのコバ面の磨きに入ります。まずは革切包丁でコバを整えていきましょう。

包丁で整えたコバをやすりで磨いた状態がこちら。だいぶキレイになっています。

さらに水磨きします。

水磨きまで終わった状態です。

ラウンドファスナー部分の制作工程

ここからがいよいよ、ラウンドファスナータイプの特殊な工程。木型を使ってファスナーを取り付けていきます。ミドルタイプではこの木型を使って制作していきます。

ファスナーも木型に合わせてカット。寸法に合わせてファスナーのレール部分、コマを詰めていきます。

コマ詰めが終わったら両端の金具を留めていきます。

次は本体内側の革パーツ。縫い合わせる 縫い穴をあけておきます。

穴あけが終わったら、ファスナーと張り合わせる準備です。革用ボンドを塗ってあげます。

貼り合わせるファスナーにも同様にボンドを塗っていきます。

いよいよ本体内側の革パーツに、ファスナーを貼り合わせます。木型に本体内側の革パーツをしっかりと固定して、ファスナーを接着していきます。

ファスナーを接着したら、角部分を処理していきます。菊寄せという 角部分がぼこぼこしないようにする工程です。

ついに、ファスナー接着が完成。木型を取り外します。

ラウンドファスナー ミドル財布、本体の組み上げ

いよいよ、制作工程も大詰め、ラウンドファスナー ミドル財布の本体の組み上げに入っていきましょう。前段階として 先ほど作ったラウンドファスナーが付いた革パーツにカード入れ・小銭入れパネルを貼り合わせ、縫い穴を貫通させておきます。

ラウンドファスナー部分とミドル財布本体外側胴部分と張り合わせていきます。

接着面に革用ボンドを塗って、少し乾かした状態で 慎重に貼り合わせていきます。

まずはカード収納側のみ貼り合わせたので、貼り合わせた場所を 一針一針手縫いで縫い合わせていきます。

カード入れ側を縫い付け完了しました。さあ、後残り半分の縫い上げです!

小銭入れ側も本体革パーツに接着していきます。

貼り合わせが終わったら、先ほどと同様に手縫いで縫い合わせて完成です。

ラウンドファスナー ミドル財布が完成!

ついに、ヌメ革仕立て ラウンドファスナーミドル財布が完成しました!!

ファスナーを開いた状態。内装は通常のミドル革財布と同じ仕様で、札入れ2つ、カードポケット4つ、小銭入れ、収納スペース2つ(カード入れ、小銭入れの下に各1)といった収納力。

小銭入れはオーソドックスなボックス小銭入れタイプです。

手に持った感じはこんな具合。ラウンドファスナー財布と言えば、長財布タイプが主流ですが、このミドルサイズも、コンパクトでなかなかどうして、洒落てますね♪

通常のヌメ革ミドル財布と比べてみました。左がラウンドファスナーのミドル財布、右が通常仕様のミドル財布。頑固オヤジ店主愛用のミドル財布です。ラウンドファスナータイプが高さ1cm高く設計しています。

というのも、二つ折りのミドル財布をラウンドファスナータイプで作る場合、ファスナー開閉部分と、札入れ部分のスペースを1cm強取っておかないと、奥に札を入れるときに出し入れしずらかったり、入れている札がファスナーに挟まってちぎれたりするんです。という訳で ラウンドファスナーのミドル財布は通常のミドルの高さより1cm高く制作しました。

奥側の札収納、札も奥までしっかり収納できます。これで入れている札がファスナーに引っかかってちぎれたりすることもないわけです。

手前側の札収納、札の出し入れもとってもスムーズです。

こちらも奥までしっかりと札を収納してくれますね。

カード入れ部分に刻まれた、当店の刻印。「一針一針、丹精込めて。当店の作品は全て手縫いで手作りしています。あなたが愛用してくれる限り、永久保証いたします。」そんな想いを込めて、ひとつひとつ手作りしています。

ラウンドファスナー仕様、栃木レザーヌメ革のブラック仕様

このブログ記事をアップしてから、かなりの数のラウンドファスナー仕様のミドル財布のご注文をいただくようになりました。中でも栃木レザーヌメ革のブラックで制作してほしい、とのご要望で制作した ラウンドファスナー仕様ミドル財布のカスタム例もご紹介します。

革色のブラックに合わせて、ファスナーテープの色もブラックにしたい、とのご希望に合わせて ファスナーテープもブラックでお作りしました。ウォレットチェーン用の取り付け金具、真鍮製のドロップハンドルも追加で取付。

内装はこんな感じ。小銭入れはいらないので両面カード入れにしてほしい、とのことで全面カード入れにして 合計で8つのカードポケットに仕立てました。

札入れは仕切りを入れた2層構造です。

ブラックのヌメ革に当店のロゴ刻印を入れるとこんな感じになります、これはこれでカッコいい、、、

艶のあるブラックの銀面にキナリのステッチが存在感大。ブラックのファスナーテープ、真鍮色の金具も相性抜群です!!

この話のまとめ

さあ、「ヌメ革のミドル財布をラウンドファスナー仕様で制作」いかがでしたか?ミドル財布に入れているカードを粉塵による磁器不良から守りたい!というご要望から生まれた、ヌメ革のラウンドファスナーミドル財布。制作工程、完成品 さらなるカスタム事例をご紹介してきました。コンパクトでお尻のポケットにも収まりのいいサイズ感が魅力のミドル財布。ラウンドファスナー仕様で仕上げると、さらに洗練された、お洒落な雰囲気を感じさせてくれます。ご希望の方は、頑固オヤジ店主まで お気軽にご相談くださいね♪

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

それではまた♪

この記事で紹介したヌメ革財布